青之丞(あおのすけ)の旅と読書日記

旅の途中で読んだ本の紹介と、撮った写真にまつわる歴史

戦場カメラマン 一ノ瀬泰造 ①

 

カンボジア アンコール遺跡群   世界遺産1992年登録 

f:id:bluetoone:20160130120320j:plain池に映るアンコール・ワット

 

1973年11月、一人の戦場カメラマンがカンボジアで消息を絶った。

そのカメラマンの名前は一ノ瀬泰造

そのころカンボジアではポルポト政権と反政府軍クメール・ルージュとの内戦が繰り広げられ、カンボジアは戦場と化していた。当時、アンコール・ワットクメール・ルージュの軍事拠点で、一般にも報道関係者にも硬く門戸を閉ざされていた。

そんな状況下においても、何人ものカメラマンがスクープ写真を撮るためにアンコール・ワットに潜入し、行方を絶っていた。泰造もその一人で、名誉得ようとする気持ちが無謀な行動をとった理由になったが、純粋にアンコール・ワットを見たいという気持ちも強かったと思われる。カンボジアの子どもたちに「プータイゾウ、プータイゾウ」と慕われ、カンボジアの人々と交流の深さがそう思わせるひとつの理由。

アンコール・ワット単独潜入を決行したとき、ビザが切れていて、ベトナムから韓国弾薬船でメコン河を遡る決死行の末、カンボジア密入国。行方不明になった9年後の1982年、プラダック村で死亡が確認された。

泰造について、いくつかの書籍が刊行され、また『地雷を踏んだらサヨウナラ』という映画にもなった。

 

f:id:bluetoone:20160130131316j:plain朝焼けのアンコール・ワット