青之丞(あおのすけ)の旅と読書日記

旅の途中で読んだ本の紹介と、撮った写真にまつわる歴史

『天才』 石原慎太郎 幻冬舎

 

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政敵だった石原慎太郎田中角栄。なぜそんな関係の石原慎太郎さんが角栄を描いたのか?角栄の汚職事件の際、慎太郎さんは角栄を辞任に追い込んだひとりである。そんな慎太郎さんが角栄の一人称で、角栄の生涯を描く。

小学生か中学生の頃、ニュースでロッキード事件が取り沙汰されていた。そのため角栄は金に汚い悪人というイメージが刷り込まれていた。しかし、この本によれば、ロッキード事件はアメリカが仕掛けた罠で、角栄ロッキード社から1円たりとも金を受け取っておらず、まんまとその罠に嵌った。金権政治の悪評高き角栄の弱みに付け込んだ。アメリカが角栄を失脚させた理由は、アメリカを飛び越え中国と国交正常化を実現したので、これ以上角栄を日本のトップに君臨させると日米関係が悪化すると判断したため。現在のアメリカとの従属関係を考えれば、いま日本が最も必要としている政治家は角栄なのかもしれない。日本列島改造論を唱え、人やカネの流れを都市から地方分散を提唱し、新幹線を新潟まで通し、上野の動物園でパンダを見られるのも、角栄の努力の賜物である。この本のおかげで幼き頃の角栄に対するイメージが180度転換した。

田中角栄は歴史に名を残す政治家であり、一般常識として読んでおきたい1冊。

 満足度4.5(5点満点)

 

田中角栄こそ、低迷する今の日本が最も必要とするリーダーなのかもしれない!