青之丞(あおのすけ)の旅と読書日記

旅の途中で読んだ本の紹介と、撮った写真にまつわる歴史

『ガンルージュ』  月村了衛  文藝春秋

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韓国の次期大統領とも言われている韓国の要人・白尚民(ペク・サンミン)が群馬県にある山荘『別荘御殿』から拉致された。犯人グループはキル・ホグン率いる韓国最精鋭特殊部隊「ソバンサ」。事件に巻き込まれ、祐太郎と麻衣は人質になってしまう。韓国と癒着している上層部が指揮を執っているため、警察は見て見ぬふりを決め込む。ソバンサの行方を追ったのは、祐太郎の母・秋来律子。そして、祐太郎の学校の担任の美晴。律子は元公安で、FBIのHRT(人質対応部隊)で優秀な実績を持つ。13年前に関わったある事件で、警察の裏切りに合い、夫になるはずだった萩原警部補をキルに殺されている。萩原警部補は祐太郎の父親でもある。律子は晴美とバディを組み、キルを追い詰める。最終決戦の舞台は、廃墟となった「みなかみ山の上温泉ランド」。極限の緊張をもって生死を賭けた戦いが繰り広げられる。果たして、秋来親子、そして美晴の運命はいかに・・・。

いまでの作品のように月村さんが描く戦闘シーンは、スリル満点で読み応えあり。キルを追って山に突入してからの、律子と美晴のスピーディなアクションには、ハラハラさせられる。エンタメ度合いも抜群。登場人物のキャラを立てるのもうまい!が、しかし・・・、ちょっと設定に無理があるのではないか。公安を辞めて、田舎に引っ込んだ律子のもとに因縁のキルが現れたり、コンビを組んだ美晴が、日体大で武道を専攻していただけで、韓国最精鋭部隊と渡り合うなんてちょっと現実味がない気がする。運がいいとか、感がいいではどうにもならない途轍もないほどの大きな差があるように感じてしまう。ストーリーは面白いんだけど・・・。

満足度3.5(5点満点)