『また、同じ夢を見ていた』 住野よる 双葉社
前作『君の膵臓を食べたい』で衝撃的なデビューを果たした住野よるさんの最新刊。デビュー作には、泣かされた。電車の中で読んでいて、涙が止まらず苦労した。
同級生より賢く、思ったことは何でも口にする小学生・小柳奈ノ花。その性格が災いして、学校には友だちと言える存在がいない。しかし、怪我をした「ナー」と鳴く猫を助けたことをきっかけに、季節(春)を売る仕事をするカッコいいアバズレさん、リスカする南さん、そして一人暮らしのおばあちゃんと友だちになる。学校で「幸せとは何か?」を考える授業で、奈ノ花は、自分なりの答えが見つからず、アバズレさん、南さん、おばあちゃんに、それぞれの幸せを聞く。その答えを聞くうちに、奈ノ花は、自分の過ちに気づくことになる。そして、最大のヒントを貰うたびに、南さんが消え、アバズレさんも消え、最後におばあちゃんも消えてしまうことになる。3人は、いったいどこに行ってしまったのか?
小学生の目線がとても新鮮で、何十年も前に失った感覚をとても懐かしく思える。途中で3人の友だちがどういう存在なのかがわかると、すべてが繋がる。そして、自分に「幸せとは何か?」と問いたくなる。自分の人生は正しいのか確認したくなる。もしかすると、おじいちゃんが現れてヒントをくれるかもしれない。
満足度3.8点(5点満点)
人生とは、自分で書いた物語だ 本文より