『夏を喪くす』 原田マハ 講談社文庫
4編の中編集。
「天国の蝿」
父親の借金のせいで大学をあきらめ、その父親のよって母との生活が守られる。家族の縁の強さ、
「ごめん」
夫が事故に遭ったとき、妻は彼氏と海外に旅行していた。
「夏を喪くす」
既婚者でありながら、仕事も持ち、愛人を持つ。
「最後の晩餐」
9.11以降連絡が取れなくなった友達。同じ男性を好きになって、気まずくわかれたままだった。ルームシェアしていたアパートが転売されることになり、荷物の整理にニューヨーク行く。投函されないままの、自分宛の展覧会の招待状をみつけ、最後の場面を振り返る。果たされなかった、最後の晩餐、友達がいつ帰ってきてもいいように、大好きだったポトフをつくる。きっと9.11のあと、アメリカではこんな悲しい物語があちこちで語られていたのだろう。
満足度3.8(5点満点)