青之丞(あおのすけ)の旅と読書日記

旅の途中で読んだ本の紹介と、撮った写真にまつわる歴史

『転生者オンム・セティと古代エジプトの謎』 ハニー・エル・ゼイニ × キャサリン・ディーズ 著   田中真知 訳 学研

f:id:bluetoone:20160207111003j:plain

イギリス人女性、名をドロシー・イーディーといい、エジプトではオンム・セティよばれている。エジプト考古局初の女性職員という科学的な所以をもちながら、自分は三千年前の古代エジプトを生きたという記憶を持つ、非科学的な側面をもつ人物であった。

彼女の記憶では、三千年前、アビドスの神殿の巫女であり、当時のファラオ・セティ1世と禁じられた愛人関係にあったという。そして、さらに驚くことに、現世の彼女のもとにはセティ1世が訪れ、その対話から古代エジプトの貴重な情報を得ていたという。

紆余曲折の生活のなかで、エジプトに移り住んだオンム・セティは、月夜の晩に枕元にやってくるホル・ラーの語る物語を「ヒエログリフ(エジプト古代文字)」で書き記す。トランス状態になっていて、書き写すまではできるが、目が覚めて書き取ったノート見ても理解できないため、ヒエログリフの解読に懸命に取り組む。解読をしながら、ホル・ラーが語った話は、3000年前の彼女の一生の物語であったことに気づく。前世の記憶を取り戻した彼女のもとに、プタハ・メスというセティ1世の使いの者が現れ、アストラル・トリップ(幽体離脱)によって、アメンティ(あの世)に伴われ、セティ1世と再会していたという。

オンム・セティは、当時エジプト考古学の第一人者であるセリム・ハッサン教授に認められ助手を務めたり、名だたる学者が認めた存在であった。またイギリスBBCや、ナショナル・ジオグラフィックが特集するほど。

また、エジプト考古学のいまだに解明できていない謎について、セティ1世に質問することにより、答えを導きだしているという事実もある。例えば、異端王アメンホテップ4世(イクナートン)の王妃ネフェルティティの墓の在りかを示し、そこからネフェルティティに関連する遺物が発見されている。オカルト的な話はさておき、オンム・セティがエジプト考古学に対するひたむきな気持ちと、エジプト神の信者であることは納得できる事実である。

満足度4.0(5点満点)

 

愛する女性をを失ったセティ1世は、3000年後、時を超えて、現代に生まれ変わったオンム・セティを見つけ、未来永劫一緒に暮らせるように再び彼女を口説いた。